制作と想い ラクシュミーとサラスヴァティー ― 弁天様のふるさとをたどる 日本で親しまれている弁才天(弁財天)と吉祥天は、もとをたどるとインドの女神です。芸術と学問、豊かさをつかさどる神様です。サラスヴァティー ― 芸術と学問の女神サラスヴァティーは、ヒンドゥー教で知識、学問、芸術、詩歌、音楽、言語をつかさどる女神です。もとはサラスヴァティー川という聖なる川の化身とされています。手にはヴィー...
制作と想い 湯殿山神社と「語るなかれ、聞くなかれ」 ― 話さないことで守られるもの 山形県には、出羽三山(羽黒山・月山・湯殿山)があります。その奥の院にあたるのが、湯殿山です。ここには「語るなかれ、聞くなかれ」という古い言い伝えがあります。見たことも、聞いたことも、口にしない湯殿山神社の本宮では、参拝で見聞きしたことを外で話してはいけない、とされてきました。人に尋ねることもしません。だからこの記事でも...
制作と想い 音楽の力と、絵にできること ― 音楽療法から考える わたしは絵を描くとき、たいてい音楽を流しています。音と絵は遠いようで、どちらも「時間の中ではたらくもの」だと感じています。音楽の力について、調べたことを書きます。音楽療法という分野がある日本音楽療法学会は、音楽療法を「音楽のもつ生理的、心理的、社会的な働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動...
制作と想い アートと医療 ― 臨床美術と芸術療法のこと 絵を描くことは、楽しみや表現であると同時に、医療や福祉の現場でも使われています。「臨床美術」と「芸術療法」について、わかっている範囲で書きます。臨床美術(クリニカルアート)臨床美術は、日本で生まれたアートプログラムです。彫刻家の金子健二さんが中心となり、1996年に、脳外科医の木村伸さんや、ファミリーケアアドバイザーの...
制作と想い 沖縄の御嶽とニライカナイ ― 建物のない祈りの場所 沖縄には「御嶽(うたき)」と呼ばれる場所があります。建物のない、森や岩や泉そのものが祈りの場になっている聖域です。御嶽とは何か御嶽は、沖縄をはじめとする南西諸島に広がる聖域を指すことばです。自然の岩、木立、泉などに神が宿ると信じられ、古くから祈りがささげられてきました。南城市の斎場御嶽(せーふぁうたき)は、その中でも琉...
制作と想い 媽祖のこと ― 海を渡ってきた女神と、祈りがかたちになること 台湾やアジアの港町を歩くと、「媽祖(まそ)」をまつるお宮によく出会います。海の女神です。わたしは海の近くで育った時間が長く、この神様に惹かれます。一人の女性から、海の守り神へ媽祖は、10世紀ごろの中国・福建省の実在の女性がもとになっている、と伝えられています。名前は林黙娘(りんもうにょう)。地元の船乗りたちが、航海の無...
制作と想い 美輪明宏さんの「正負の法則」と、影を消さないで描くこと 美輪明宏さんの本に『ああ正負の法則』(パルコ出版)があります。わたしが絵を描くときの、ひとつの土台になっている考え方です。この世は、正と負でできている美輪さんは、この世は〈正〉と〈負〉で成り立っている、と書いています。マイナスがあれば、必ずどこかにプラスもある。地球は「光と影」でできている、という言い方をされています。...
制作と想い 紅花のこと ― 山形が日本一だった「紅」の色 山形県の県花は、紅花(べにばな)です。これは飾りではなく、歴史に根ざした選ばれ方をしています。山形は、日本一の紅花の産地だった江戸時代、最上川の中流にあたる村山地域は、肥えた土と朝霧の立ちやすい気候にめぐまれ、日本一の紅花産地に育ちました。その量は「最上千駄(もがみせんだ)」と呼ばれ、江戸時代後期の最盛期には、全国の紅...
制作と想い 最上義光と山形城 ― 山形の礎をつくった武将 山形市の中心に、霞城公園(かじょうこうえん)があります。ここはかつての山形城の跡で、入ってすぐのところで最上義光(もがみ よしあき)の騎馬像がむかえてくれます。山形城のはじまり山形城が最初に築かれたのは1357年。羽州探題として山形に入った斯波兼頼(しば かねより)によるものです。最上氏は、この斯波兼頼の子孫にあたりま...
制作と想い レオ・レオニさんとスイミー ― 一匹の黒い魚の話 『スイミー』を描いたレオ・レオニさんは、色と「一匹であること」について考えさせてくれる作家です。一匹だけ、黒い魚小さな赤い魚のきょうだいたちの中で、スイミーだけが真っ黒でした。ある日、大きな魚にきょうだいをのみこまれ、スイミーはひとりになります。海をさまようスイミーは、やがて別の赤い魚の群れに出会います。そして、みんな...