アンデルセンと人魚姫 ― 声を手ばなす話と、その反対のこと

わたしは作家名に「Mermaid(人魚)」を使っています。だから『人魚姫』を書いたアンデルセンのことは、たびたび考えます。

人形芝居で遊んでいた子ども

アンデルセンは、デンマークのオーデンセという町の、貧しい家に生まれました。夢見がちで友達も少なく、家にこもって人形芝居で遊んでばかりいた子どもだったと伝えられています。

成長するにつれて空想と芝居の世界にのめり込み、演劇の道を志して、1819年に首都コペンハーゲンへ出ます。その後、詩や小説を書き、やがて童話にたどり着きました。

『人魚姫』と、声を手ばなす話

『人魚姫』が発表されたのは1837年です。人間の王子に恋した人魚姫が、自分の声と引きかえに人間の足を得る。けれど思いは実らず、最後は海の泡になっていく、という物語です。

コペンハーゲンには「人魚姫の像」があります。1913年に彫刻家エドヴァルド・エリクセンさんがつくったもので、顔は当時バレエ『人魚姫』で主役を踊ったプリマドンナがモデルです。像はこれまで何度も壊される事件にあいましたが、そのたびに直され、いまも港に座っています。

海
人魚姫は、声と引きかえに陸へ上がりました ― Photo by Mermaid nao

わたしは、声を手ばなさない

人魚姫は、思いを伝える手段である「声」を先に手ばなしてしまいました。物語がせつないのは、そこだと思います。

わたしがアートでやろうとしているのは、その逆です。ことばにならない思いを、色とかたちという別の「声」にして残す。手ばなすのではなく、置いておく。

人魚姫の名前を使いながら、人魚姫とは反対のことをしている。そういう気持ちで制作しています。

Mermaid nao のオーダーアートは、あなたの声にならない部分を、一枚にとどめる仕事です。


【参考にした情報・引用元】

GOTRIP!(デンマークが生んだ童話王・アンデルセンゆかりの地を訪ねるコペンハーゲンの旅)
トラベルjp(アンデルセンゆかりの地7選)
観光アクセスガイド(コペンハーゲンで出会う「人魚姫の像(Den Lille Havfrue)」)


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