制作と想い 岩絵の具のこと ― 石を砕いてつくる、日本画の色 わたしは絵を描くとき、いくつかの画材を層のように重ねていきます。そのひとつが、日本画で使う「岩絵の具(いわえのぐ)」です。祖母は日本画を描く人で、その絵はいまも、わたしの家の和室にかけてあります。岩絵の具は、わたしにとって少し特別な画材です。石を砕いた粉が、そのまま色になる天然の岩絵の具は、鉱物を砕いた粉です。着色料を...
制作と想い 山寺(立石寺)と、芭蕉が聞いた蝉の声 ― 一つの音に、意識が集まるとき 山形に、山寺と呼ばれる場所があります。正式には立石寺です。 松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅の途中で立ち寄り、有名な一句を残した場所として知られています。 芭蕉が聞いた、蝉の声 芭蕉が山寺を訪れたのは、元禄2年(1689年)の旧暦5月27日。今の暦でいうと7月中旬です。 そこで詠まれたのが、「閑さや岩にしみ入る蝉の声」と...
制作と想い 出羽三山と「生まれかわりの旅」 ― 過去を振り返り、未来へ向きを変える 山形の中央に、出羽三山という三つの山があります。 羽黒山、月山、湯殿山。この三つをめぐる参拝は、昔から「生まれかわりの旅」と呼ばれてきました。 現在・過去・未来をたどる旅、という考え方です。 三つの山に、時間が割り当てられている 出羽三山への信仰では、それぞれの山に意味があります。 羽黒山は、現世の幸せを祈る山。「現在...
制作と想い 蔵王・御釜と刈田嶺神社 ― 情報から離れて、自分の軸に戻る場所 山形に、蔵王の御釜という場所があります。 わたしは昔からここが好きで、頭の中がいっぱいになった時に、よく足を運びます。 行くたびに感じることと、御釜のまわりに重なっている歴史を、書いておきます。 登っていくと、日常から切り離されていく 御釜へ向かって山を登っていくと、街の景色が遠ざかり、空が近くなります。携帯の電波も、...
制作と想い 創作が、人を支えたとき ― チャーチルさん、マティスさん、草間彌生さん 創作が、その人が生きていく支えになった例があります。40歳で絵を始めたチャーチル、手術のあとはさみで切り紙絵をつくったマティス、作り続けることが生きる方法だった草間彌生。上手さより前にある、手を動かすことの働きについて。...
制作と想い 生きがい(IKIGAI)と、絵を描くこと 海外で広まった「IKIGAI」は4つの円のベン図とともに知られますが、日本語の「生きがい」とは少し違う意味に変わっています。図の出どころ、日本の生きがいが日常にあること、わたしにとっての生きがいと絵の関係を書きました。...
制作と想い 絵を一枚、暮らしに置くこと ― アートと心の状態の関係 絵を暮らしに置くことは、心の状態に何かをするのか。コートールド美術館の研究では本物の絵の鑑賞でストレスホルモンが平均22パーセント下がりました。効果を約束はできないという前提で、研究と、一枚と暮らすことについてまとめました。...
制作と想い ウェルビーイング経営と、社に絵を置くということ ウェルビーイング経営の一部として、オフィスにアートを置く企業が増えています。健康経営との違い、場が働く人に作用する研究(京都工芸繊維大学・慶應大)、事業の価値を場に置いておくという考え方を、BUSINESS ARTの視点でまとめました。...
制作と想い 世界の神話と、生命を讃えるということ ―― ガネーシャ・バロン・ラー・愛染明王 世界の神話は、欲も障害も沈む太陽も、否定せずに神のかたちにしてきました。障害を除くガネーシャ、善悪の均衡を説くバロン、死と再生をくり返すラー、煩悩を悟りに転じる愛染明王。生きる力をまるごと讃える発想をたどります。...
制作と想い 日本の神話に見る、色とかたち ―― 光・花・水・舞に名前をつけた人たち 日本の神話は、太陽の光、花の色、川の流れ、月あかり、舞のかたちそのものを神として語ってきました。天照大神・木花咲耶姫・瀬織津姫・月読命・天宇受売命・猿田彦神。色や形に意味を感じる感じ方の遠い源をたどります。...