制作と想い ヒュッゲのこと ― 冬が長い国の、暮らしのウェルビーイング デンマークに「ヒュッゲ(hygge)」ということばがあります。ウェルビーイングを考えるうえで、よく引き合いに出される考え方です。心地よい時間、居心地のいい空間ヒュッゲは、デンマーク語で「心地よい時間」「居心地のいい空間」を指します。人とのつながりから生まれる、ほっとした幸福感、という意味あいです。このことばが使われるよ...
制作と想い 浮世絵とジャポニスム ― 庶民の版画が、西洋の絵画を変えた 江戸時代の日本で、庶民が買っていた木版画があります。浮世絵です。この日本のローカルな絵が、海を渡って西洋の絵画を変えました。北斎、広重、歌麿「神奈川沖浪裏」の大きな波で知られる葛飾北斎。「東海道五十三次」「名所江戸百景」で宿場や町の景色を描いた歌川広重。美人画の喜多川歌麿。浮世絵は、風景、役者、暮らし、遊び、そのときの...
制作と想い アンデルセンと人魚姫 ― 声を手ばなす話と、その反対のこと わたしは作家名に「Mermaid(人魚)」を使っています。だから『人魚姫』を書いたアンデルセンのことは、たびたび考えます。人形芝居で遊んでいた子どもアンデルセンは、デンマークのオーデンセという町の、貧しい家に生まれました。夢見がちで友達も少なく、家にこもって人形芝居で遊んでばかりいた子どもだったと伝えられています。成長...
制作と想い 安野光雅さんと、弱い色の強さ 絵本作家の安野光雅さん(あんの みつまさ)は、淡い水彩で、静かで、細部まで描き込まれた絵を残した人です。わたしが色を抑えることを考えるとき、思い出す作家です。42歳での絵本デビュー安野光雅さんは1926年、島根県津和野町に生まれました。戦後、小学校の代用教員を経て、1950年に美術教師として上京します。教師をしながら本...
制作と想い ガネーシャのこと ― はじめの一歩の邪魔を、取りのぞく神 インドで、いちばん親しまれている神様のひとりがガネーシャです。象の頭を持つ姿で描かれます。障害を取りのぞく神ガネーシャは、目の前の障害を取りのぞき、成功と幸運をもたらす神とされています。とくに「新しいことを始めるとき」に祈られます。インドでは、儀式や事業のはじめに、まずガネーシャに手を合わせる習慣があります。知恵と学問...
制作と想い 猿田彦のこと ― 分かれ道に立って、方向を示す神 神社で「道開きの神」として案内されているのを、よく見かける神様がいます。猿田彦(さるたひこ)です。新しいことを始めるときにお参りする、という人も多い神様です。天から降りる神を、道案内した猿田彦は、古事記と日本書紀の両方に出てきます。天照大神の孫であるニニギノミコトが地上に降りるとき(天孫降臨)、その道案内をつとめた、と...
制作と想い 国宝「縄文の女神」 ― 舟形町の土から出た、4500年前のかたち 山形県舟形町から出土した土偶に、「縄文の女神」があります。国宝に指定されている土偶で、わたしが山形の「かたちの美しさ」を考えるときの原点のひとつです。4500年前の、45センチこの土偶は、舟形町の西ノ前遺跡で見つかりました。縄文時代の中期、いまからおよそ4500年前のものです。高さは45センチ。土偶としては日本最大級で...
制作と想い 上杉鷹山 ―「なせば成る」で米沢藩を立て直した藩主 山形県米沢市に、上杉鷹山(うえすぎ ようざん)という江戸時代の藩主がいました。破産寸前だった米沢藩を立て直した人として知られています。借金でつぶれかけた藩を継ぐ鷹山が米沢藩を継いだのは1767年、17歳のときでした。当時の藩の借金は20万両にのぼり、幕府に領地を返そうか、という議論が本気でなされるほど追いつめられていま...
制作と想い 村川千秋さんと山形交響楽団 ―「ふるさとの山形にオーケストラを」 山形県には、東北で最初のプロのオーケストラ「山形交響楽団(山響)」があります。これを立ち上げたのが、指揮者の村川千秋さん(むらかわ ちあき)さんです。「ふるさとの山形にオーケストラを」村川千秋さんは1933年、山形県村山市に生まれました。東京藝術大学で学んだあと、1963年にアメリカへ渡り、インディアナ大学の大学院で指...
制作と想い 香港・黄大仙のこと ― 「有求必応」と、願いを向ける先 香港に「黄大仙(ウォンタイシン)」という道教のお宮があります。「求めれば必ず願いが叶う」とされ、年間およそ300万人が訪れる、香港でいちばん大きなお宮です。病気平癒から、あらゆる願いへ黄大仙祠は、正式には嗇色園黄大仙祠といいます。本尊は黄初平(こう しょへい)という、晋の時代の仙人です。道教だけでなく、仏教の観音菩薩、...