パウル・クレーさんと色 ― 「色彩と私はひとつだ」と書いた旅

画家のパウル・クレーさんは、色について考えるとき、わたしがいちばん思い出す人です。ある旅をきっかけに、色に対する感覚が大きく変わった人だからです。

チュニジアへの旅

1914年4月、クレーさんは画家仲間とともに北アフリカのチュニジアを旅しました。強い日ざしと、光にあふれた街の色。その体験の前と後で、クレーさんの色づかいは明らかに変わったとされています。

旅のあいだの日記に、クレーさんは「色彩と私はひとつだ」「私は画家だ」と書きました。1914年4月16日のことです。この一行は、クレーさんが「色彩の画家」になった瞬間として、よく引用されます。

形にすると、色は動きだす

旅のあとのクレーさんは、目の前の風景を四角や三角などの単純な形に置きかえ、そこに色をのせていきました。建物も木も人も、色のついた区画のように整理されます。

ふしぎなことに、そうやって単純にすると、色どうしが響きあって、画面が音楽のように動いて見えます。クレーさんは音楽にも深くかかわった人で、絵と音を近いものとして扱っていました。

光を通した色ガラス
光の強い場所では、色が別のものに見えます ― Photo by Mermaid nao

場所が、色を教えてくれる

クレーさんの話で好きなのは、色の感覚が机の上ではなく、旅先の光の中で変わったところです。どこにいるか、どんな光を浴びているかで、同じ色でも受け取り方が変わります。

わたしは山形で絵を描いています。雪の反射、夏の緑、川の照り返し。この土地の光が、わたしの色を少しずつ決めているのだと思います。

Mermaid nao のオーダーアートでは、あなたが過ごしてきた場所の光や色を、一枚に含めることがあります。


[References]

カーサ ブルータス(パウル・クレーさんがチュニジアから持ち帰ったもの/鈴木芳雄の「本と展覧会」)
静岡市美術館 ブログ(異国の地 色彩の発見)
みすず書房(クレーの日記)
ウィキペディア(パウル・クレーさん)


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