1988年から1992年にかけて「LaLa」 で連載されていた少女漫画。
作者は清水玲子さん。
あらすじ
舞台は1985年のニューヨーク。
主人公は売れないダンサーと記憶喪失の少年。
その少年は実は人魚(女)で、
成体になった時
人魚の男性との間で地球上に卵を産む運命にあった。
しかし
人間と結ばれてしまうと異変が起こり
恐ろしい事故や事件が多発し
地球の存続が危ぶまれると言われており、、
アンデルセンの童話「人魚姫」をモチーフとして
現代の環境問題なども絡めながら、
切なく悲しい愛憎劇となっています。
メッセージ性がとても強い作品です。
なかなか内容が複雑なので、
単にラブストーリーやファンタジーを楽しみたい! という方には向かないかもしれません。
小説や哲学、 頭を使って考える事やミステリーが好きな方にはハマりそうです。
文学を愛する方にはおススメです。
Contents
人魚度:☆☆☆☆☆
人魚度は星5つ。
うっとりするような綺麗な人魚が描かれています。
ビジュアル最高です。
人魚のフォルムがまさに理想の形で
ため息が出てしまいます。
絵から伝わる圧倒的な美
絵がまず素晴らしく美しく
これが絶世の美女か!
と感じてしまう人魚に出会えます。
ページを開き次の絵を見たときに
バーン!と現れる綺麗なベンジャミンの姿に
いちいち心を鷲掴みにされます。
少女漫画の麗しい絵が好きな方はたまらないと思います。
あと所々にある挿絵が
チェコ出身の画家、アルフォンス・ ミュシャの絵を彷彿とさせるものもあり
そこも私的にツボでした!
nao
ミュシャ好きでして、、
似たようなもので好きな感じといえばカードキャプターさくらのクロウカ ードですかね。
美しい人魚を見たい方は大満足かなと思います。
ミステリアスな所や原発事故、魔物の恐ろしさも描かれているので
少し怖いシーンもありますが
全ての絵が本当に細かく丁寧に描かれています。
まさにアート、(ART)
繊細な芸術作品です。
複雑な人間模様
人間の王子様に恋した人魚姫の悲恋だけでなく
様々な人間関係での愛や憎しみが入り混じり
ぐっちゃぐちゃしています。
nao
みんな忙しい。
- 家族のような愛
- 歳の差の歪んだ愛
- 兄弟に心を寄せる愛
- 同性愛のようなもの
- 女同士の嫉妬
- 同業者の嫉妬など
スゴーイです。
糸が絡みまくり!!
でもどれも、
なんだか妙に共感してしまうような
生々しい愛おしさを感じさせます。
nao
、、この気持ちはなんだろう
個人的に物語のキャラクターの名前が全て日本名ではないところが
ちょっと覚えにくかったかなと。
トシオ、とかアキオ、とかミチコなら分かりやすかったですが、、
アート、とかジミー、ホリーやショナ、 セツと名前がハイカラすぎて(お洒落すぎて)
なかなか覚えられませんでした、、
nao
私の頭がぽんこつ。
セツ×ショナのBL的な要素
本作には成体(おとな) になるまで性別が男でも女でもない人魚が存在します。
そのひとりにセツという人魚がいて、
見た目は中性的な青年です。
その子は人魚の男性、ショナに恋をします。
セツはベンジャミンのスペア。(予備、代わり)
ベンジャミンが卵を産まずに死んだらセツが女体になり
人魚の男性との卵を産む。
ベンジャミンが死なない限りセツは女の身体にはなれません。
しかしその順番を待つまでもなく
身体の弱いセツは汚染された地球環境に耐えられず吐血し死亡、
セツに心を寄せる兄弟、ティルトが魔女と取り引きし
セツは命を吹き返しますが
報われない想いをショナに抱き続けます。
ショナはベンジャミンに恋をしていたのですよね。
ただ想ってるだけでいいと
出逢えただけで倖せだと思っていた僕はベンジャミンの側にいてずっと
彼女を守ると誓ったのに子孫のため
地球のため
いつだって水の泡になって
消える覚悟でいたのにいつのまにか
こんなにも欲深くなっていたなんて
ですが最終的にはいつのまにか
ショナはセツを愛しており
2人は衝動的に結ばれます。
憧れ?
恋?
お前じゃない、、
あれ?
いつの間にか僕はお前を愛していた
イチャイチャイチャイチャ
というセツ×ショナの恋愛模様がなかなか面白かったです。
nao
悲恋がちょっと覆った瞬間、、//
36歳女性、ジャニ系21歳に夢中
セツを女性化させ無事に卵を産ませたいティルト( セツとベンジャミンの兄弟)が
その目的を果たす為、
ギル・オウエンというボンボンに目を付け身体を乗っ取ります。
ギルは世界でも有数の財団を実質的に支配しているオウエン家の後 継者。
そして若くてハンサムです。
そのギルに憧れていた長身で大柄な女性リタは、
完全に身体を乗っ取られる前のギルに助けを求められギルの側近と なります。
ギルに会いたいが為にギルの妹に近寄り
やっとギルに会えたかと思ったら
僕のそばにいてくれませんか?
憧れの年下イケメンにこんな事を言われたらたまりませんよね。
婚約者もいたのにほっぽって、
リタはギル真っしぐらになってしまいます。
ギルの中のティルトは
リタの持つ霊能力を利用しようと企みます。
甘い言葉とフレンチキスで
ギルと化したティルトに都合よく利用されてしまうリタ。
利用されているとも知らず
ギルは私を愛していると思い込んでしまうリタ。
そのリタの様子がちょっと痛々しく、、
ギルに愛されていないと知った時のリタの暴走がとても怖いです。
ある意味これもはホラーです。
nao
ちょっとゾッとします、、笑
真っ直ぐな愛が
歪んだ愛へと変貌していく様子が火サスっぽいです。
nao
火曜サスペンス。
でーでーん
事件です。
こわいよ。
まとめ:作者の意
一般に「人魚姫」は
アン・ハッピーエンドの悲劇の物語だと
いわれているけどーたしかに結末は
そうだけれどでも命をかけるほど好きな人が出来て
片思いにしろその願いがかなって
その人のそばに
つかえることが出来たんですそんな素晴らしい人に出会えた
それが倖せなんじゃないでしょうか
その恋にすべてをかけることが出来た
裏切り、殺人、原発事故のシーンもあるので
感受性の強い方ですと少し
気持ちが辛くなってしまうかもしれませんが
人の愛や幸せ、地球の未来について
とても強いメッセージが込められている作品なのかな? と感じました。
内容が内容だけに
読み終わったあとはスカッと爽快、
ハッピー全開!ではありませんが
緻密に描かれた臨場感溢れるイラストや
一風変わった人魚姫の世界観に触れてみたい方はぜひ一度
読んでみてはいかがでしょうか。
以上!
漫画レビューでした。
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